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* その11 *
見えないもの
前回更新の『リトライ』から、丸3年の月日が流れました。
あまりに長く放置したため、もう先の話を書けないかと思ってましたが、過去を読み返すと不思議とその頃の感情がよみがえってくるもので。
負けないで更新してみようかと。(笑
* * *
第三作目【Mosaic】の少し前だったでしょうか。
このサイトの元となった『れん屋@まえむき創作本舗』という屋号で、自分のホームページを作りました。
理由は……たぶん、自分だけの表現場所を手に入れたかったから。
当時は、今のようにカンタンにブログやSNSが使えるほど、インターネットの世界は進歩してはいません。
せいぜいフリーのCGIプログラムをレンタルして、それなりにHTMLの知識を取り入れ、文字を大きくしたり写真を背景にどーんと入れてみたりして、フレーム駆使して単純なHPを自作する。
その程度です。
しかも、そんなに気安くできるわけでもない。今じゃ考えられないけれど、商用4ページ程度のサイト作成費用が50万円は軽く取られていた時代の話です。。
それでも作ってみたかった。
初めは単なる日記と創作好き仲間との交流を目的にした創作サイトでした。
小説に的を絞らずあえて漠然と創作としたのは、裏を返せば文章への自信のなさの現われでもあります。
もちろん表現する場所を作ったからには、その要素は不可欠ですが、自己満足のへたくそな長編を出したところで、誰も(=自分だったら)読みはしない。
だったらせめて、とっつきやすい短い作品を書こうと、
そこで初めて『短編』というジャンルを意識
しました。
短編を書く=短い小説を書く。
どのくらい短ければ短編なのか?
まずはそこからでした。確か当時、ネットでいちいち調べたような。(笑
以前教わった起承転結の4本柱のなかの序破急。
出来ているかどうかはともかく、小説をいう形態を意識しながら……でも結局は思いつくまま大筋を書いていきます。
頭で考えるよりも、流れで違和感がなければ文字にする。
結局、書きながら初めはプロットっぽかった文字の列が、次第に肉付けされて、気がつけば短編と呼ぶには少し長すぎる小説『吉祥果』が完成しました。
所詮、素人のやることです、そんなモンです。(笑
ちょっと長めになった短編を2つに分け、サイトに初めて掲載。
そんなに間を空けず、2作目の『りんごのうさぎ』としばらく経って『声』を書き上げました。
当時、ネット上で自作品を掲載し、批評や感想を求めるブームみたいなことが起きていました。
感想が聞きたいと思う反面、自分が書き上げる喜びや満足感を一番にしていた私は、積極的に感想を求めるコメントはしていませんでしたが、よく知るネット仲間や通りがかりに読んでくれた人から、うれしいコメントを掲示板でもらいました。
調子に乗った私は、初めてBの評価が出た【Mosaic】の序章部分をサイトに載せて、評価内容を公表したのです。
同じよう『こういう物語、好きです!』と好意を示してくれる人がいる裏で、そうではない言葉も、もらうことになりました。
いろんな人が、
来れば自由に見られる
のがネットの長所です。当然、想定される事態です。
小説を書くことに真摯に取り組んでいる人だったのでしょう、そして親切心ゆえのことなのでしょう、
批判めいた感想や認識の誤りを指摘するメールが、何度も届くようになりました。
何よりきつかったのは、意を決して投稿した新人賞の評価でもらったコメントを、序章の部分だけで、カンタンな言葉をもって否定されたこと。
応募作品をサイトに載せたこと、心から後悔しました。
もちろん、上手くなりたいと思う気持ちはありました。そのメールの、時に分析力のすごさにうなずき、反論できないと感じることもありました。
教育的指導といえば聞こえはいいですが、それが分かっていても、やっぱり自己を否定されている気がしてくる。
一つ一つの指摘を受け止めようと意識しても、ただ気持ちが混乱するばかり。
辛らつな言葉を受け止めるだけの耐性もなければ、情熱も覚悟もありません。
ただ楽しいから、書いていただけ、なのに。
次第に
不愉快な気持ちへと転じていく自分
がいたのです。
以来、書き方への理屈に縛られ、言葉が浮かんでもそれを素直に文字にできなくなっていきました。
物語を書くようになって、初めて体験したスランプ。
書きたい話はたくさんありました。
でも、話が1/4ほど進んだあたりで、いつも、これじゃダメなんだろうなぁと思考を止めてしまう自分。
それを何十回も、何百回も繰り返し、結局一本も書き上げることができない。
重症です。
その頃の私は……
もう、小説で夢や未来が語れなくなっていたのでした。
屋号が『れん屋@まえむき創作本舗(当時)』なのに、全然前向きじゃないじゃんっ!ヾ(- -;)
『夢』発……の継続危機!? 否、起承転結で言うところの……『転』?(笑
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