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* その10 *  リトライ


第三作目、【Mosaic】は二ヶ月足らずで完成しました。

今度は小説の形式を守った、それなりに自分で気をつけながら書いた作品。大事に大事に育てたキャラたち。この子達が人様の目に触れた時、彼らの言葉や想いをどんな風に読む人たちに伝えてくれるのか。
ワクワクとドキドキが入り混じって、なんとなく落ち着かないのは同じでした。

見直すと、まー恐ろしく間違いだらけ。読むたび、書き直すたびに赤線が増えていきます。ストーリーを暗記できるんじゃないか?ってくらい何度も読み直しました。

数人の知人にも見てもらい、おかしな部分をチェックしてもらったりして、異常なくらい何枚も印刷し、原稿用紙600枚以上になる本文に使ったコピー用紙の枚数は、軽く1500枚越え。
ホント、ムダ以外の何者でもない。それでも、テスト印刷は2段組みにして、一枚辺り2040文字にしたんですけど……、やっぱムダはムダってことで。(´ω`;)

正直、これでいいとは思いませんでした。
設定に無理があったり、こんな風には和解しないだろうし、本当はもっと濃い想いで迷った心が消えていくはずなのに……。
何度も赤線を引き改稿しますが、つじつまが合わなかったり、だらだらと文章は長くなるばかり。
それでもいくらかマシにはなったのでしょうが、違和感は残りつつも最後には、これが今は自分にとって精一杯の表現なんだと納得し、脱稿しました。

まだネットのあれやこれやが不慣れだった、この頃の自分。やっぱり2回目の応募も、郵送で送りました。
2度目ともなると、返事が来なくてもさすがに肝は据わるもの。おかしなことに、3ヶ月を過ぎる頃になってそわそわしていたのは、実は私ではなく、私の小説書きごっこを影ながら支えてくれる、友人の”下読み氏“でした。

ある日の事です。

「……あのね、カド●ワから、何故かうちに電話がかかってくるんだよ、で、おめでとうございます!Mosaicが受賞しました、一般発売決定です!って。もードキドキしちゃたよ、私っ!」

下読み氏がそんな夢を見たと、いつになく興奮気味で、その日のうちに私に電話かけてきました。(笑)

念のためにもう一回。

夢ですよ。夢。

ふふふ……。

でも、ホント、うれしかったなー。だって、自分でもそんな夢見てないのに、彼女は夢に出るほど気にしてくれているなんて、なんだか感激じゃないですか。

で、結局。

リトライの結果はというと。

総合判定「C」。

……前と同じじゃないかっ!(大爆笑!)

でも、各判定項目コメントと総合コメントとには、うれしい評価がありました。
意識的に書いた人物造型項目は『登場人物たちはそれぞれきちんと描かれており、感情移入するに足る仕上がりだと思います』とあり、評価もBに上がっていました。
そして総合コメントは『作品としてはより面白くなれる可能性があります』という一文が。

これが何より嬉しかった。
なにせ、前回はオリジナリティを感じないと評価されていましたから。(苦笑
今回のコメントは素直に読むなら、『まだそんなに面白くはない。けど、書き方によっては面白い作品になる』そういわれてるんですもの。(ヲイ
褒められると気持ちいいねー。(笑

もちろん厳しい指摘もありました。
隠喩と直喩の入り乱れた文章は読みにくいとか、セリフが短くて説明っぽいとか、ストーリーにもっと急緩を出したほうがいいとか。
設定がSFだけどオカルト基調なので、もっと違和感なく感じさせられる演出を……とか。
(まさか自分の作品がオカルト基調だとは思ってもみなかった。^^;;;そのくらい冷静に書けていない自分が明白に……っ。苦笑)

問題は以前以上に山積です。(しかも難しそうな課題^^;;;;)

否。
結果は一歩前進。総合評価は変わらずとも、Bが一個増えたんですものっ!!!!!!!!!

結果を聞いた下読み氏は、本当に残念がってくれました。
この日までずっと「きっとアレは正夢だよ!」と、妙な期待をしてくれていましたから。(笑
そんなに世の中、甘くはないよ、下読み氏。

そして。
私はいつかこの大切な友人のためにも、夢を現実にしてみたい、そんなことを思うようになっていました。

でも小説家という三文字を意識し、言葉を扱う職業としての意識がどんなものか、この頃の私にはさっぱり。あまりに非現実的な発想である事には変わらないわけで。(´▽`;)
当然、この新人賞応募だって、デビューしたいという情熱から送ったのではなかったのです。(ホント迷惑な話だと、今では大反省ですけど^^;)
ただ、自分がどのくらいの力量なのか知りたかった、自分が書いた文章は、端にも引っ掛からないほどの駄文なのか。

その物差しが欲しかった、ただそれだけ。

でも、それでも。
好きだけで書くことを始めたとしても、自分の文章を研ぎ澄ます努力を続け、成長していければ、それはいつか意識していなくても同じところに行き着くんじゃないだろうか、そう思っていました。
そう思えることが、自分をどんどんプラス思考にさせていました。

書くことに楽しさを覚えた、新しい自分。
腐っててヤダなーって思っていた以前の自分。
きっかけは何でもない、ただの夢の話。

でも、そのなんでもない夢の話が、大きく自分の生き方に影響を与えたのは、確かな事実です。

自分が自分らしくあることの重要性、同じ環境でも、自分が主体的に道を選ぶことがこんなにも簡単に出来るのかとわかると、世界の色はまるで違って見えてくるのです。
可能性とか、夢とか、形をもたないそれら不確かなものも、自分が求めさえすれば感じ取れるシーンが、まだこの世の中にはたくさんある。
現実を悲観的に見て嘆いているだけの時間が、短い人の一生において、どれほどもったいない事なのか。
そのことに気が付いた自分は、そこから俄然やる気になれたのです。


あれから数年の時が流れ、この文章を書いている現時点にいたるまで、私は本当にたくさんの人や出来事、知恵と技術に恵まれました。

またそのお話は、近々この『夢』発……で♪




そろそろ山場を迎えそうな予感の『夢』発……は、まだもう少しだけ続くのであった。(笑


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